慢性関節リウマチへの応用の可能性

全国に約70万人も存在すると言われる「慢性関節リウマチ」患者。関節内の炎症による痛みが主な症状ですが、腫れ・痛みの悪化とともに骨の変形までも起こしてしまう非常に厄介な病態です。しかし、まだ正確な発生機序が不明なため予防・進行抑制に効果的と考えられる手段は見つかっていないのが現状です。この慢性関節リウマチの進行予防・症状改善に、培養上清の活用が注目されています。

関節リウマチの患者の関節内では、本来であれば体を”守る役割”であるマクロファージをはじめとした免疫細胞に異常が起きていることがわかっています。異常な信号(主に腫瘍壊死因子TNFなど)が出されることにより免疫細胞が暴走することで炎症を惹起させ、自身の大切な骨までも壊してしまうのです。これはまさに、免疫細胞調整能力の破綻であり、この調整能力を回復することで、進行予防や症状改善につながる可能性が示唆されています。

海外の研究でも、ヒト臍帯組織由来の間葉系幹細胞(UC-MSC)を活用した研究が進められており、関節リウマチの治療に有用となる可能性があることが示唆されました。ヒト細胞と関節炎の動物モデルを用いた研究では、UC-MSCが、in vitroで線維芽細胞様滑膜細胞(fibroblast-like synoviocyte:FLS)の炎症作用を抑制するとともに、制御性T(TREG)細胞の増殖を誘導し、in vivoではマウスコラーゲン誘発関節炎を軽減することが示されたのです。

TNF産生は、UC-MSCによって用量依存的に抑制され、TREG細胞の増殖を促進することがわかっているのですが、T細胞に対するこの抑制作用は、主にTGF-β1・NO・PGE2(プロスタグランジン)に依存することが明らかになっています。

さらに、そのいずれの作用も、ヒト臍帯幹細胞培養上清に含まれる成分であるため、安全性と効果の面から、ヒト臍帯由来培養上清の活用がより注目を浴びるに至っています。

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